長鳴鶏の宿にて(2)
「……5度目の正直……ようやく勝った……っ!」
「クリスおねーちゃんのおかげだねー」
「いや、まったく。ブーストでダブルアタックが出たのはかなりでかかった。後は5階の宝箱万歳ってところだな。」
「でもその間に4回も全滅……おとなしくもう少し経験つんでから行ったほうがよかったんじゃない?」
「えー、かったるい」
「か、かった……」
「いや、本当に手も足も出ないなら考えるけど手ごたえがあったからさー。それにレベルが1~2上がったくらいで能力が飛躍的に上がるわけでもないし」
「まぁ、そーだけど」
「なにより探索しつくしたフロアを敵を求めてうろうろするのはつまらないし、性に合わない(きっぱり)」
「こ…こーのーひーとーはー」
「まぁ、まだまだ隠し通路とかあるのかもしれないから探索『し尽くした』とは言えないのかもしれないけどね。でもやっぱり未知のフロアを探索してこそ冒険者(ぐっ)」
「ところで、次の階層ってずいぶんくらーい印象だよね」
「森林浴を楽しめる場所から一気に密林に到着してしまったな。正直あのうっそうとした雰囲気は好きじゃないのでさっさと下に行きたいのだが」
「でも、下に行けば行くほどだんだんくらーく陰鬱な雰囲気になってくんじゃないかなぁ……」
「……それもそうか。」
「ま、新しい階層はこれからゆっくり探索するとして、まずはその風邪治してね」
「げふんっ」
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