セフリムの宿にて(3)
「……やっぱさぁ。無理があると思うんよ、この計画」
「そんなことないって。ちゃんと潜れてるじゃない。無理に私が手出さなくても倒せるし、敵」
「攻撃力はな?いい装備買うてもらってるし、それなりと思うよ?でもな?前に立つのが耐久力がない上に金属鎧着られない3人というのは大変問題があると思うんよ。てか、実際攻撃受ける度に戦闘不能になっとるがな、うちら」
「大丈夫。ネクタルの在庫には余裕があるし、いざとなればあきらもいる。」
「戦闘不能になることそのものに問題があるとゆーとんねん、こっちは!」
「……しかたないなぁ。じゃあ熊とスパーでもしに行く?あそこ、ほんとに0時でぽんと沸くんだよね。この間目の当たりにしてびっくりした」
「……なぁ。熊も1撃で戦闘不能になる攻撃ぶちかましてくると思うんやけど」
「でも、今の装備じゃ碧照ノ樹海のそこらへんにいる敵なんて敵じゃないでしょ?やだよ、わざわざしょぼい装備買いなおすの。それに、第4大地の採取でアムリタIIの素材が手に入るから、早くそっちに行けるように特訓しないと」
「……駄目や、この女。早くなんとかしないと……」
* * *
「……話変えるけど。第4大地ってことは噂の雪山は突破したん?」
「あー、うん。一応、ね」
「なんや歯切れ悪いな。」
「なんていうかねー、色々な感情がぐるぐる渦巻いてますよ。……まぁ、でも一番強いのは悔しさ、かなぁ。」
「悔しい?」
「出し抜かれたっていうかしてやられたっていうか体よく利用されたっていうか……ねぇ。まぁ、でもあれよ。武力の圧力なんかには負けませんよ。冒険者の意地というか底力を見せてやるんだから。それはそれとして、ホムラミズチのおかげで、金剛獣ノ岩窟はなかなか楽しいところだったね。」
「暑くて寒いとかよう分からん話はちらほら聞いたけど」
「極寒の洞窟を灼熱の洞窟に変えるという素敵なバケモノがいらっしゃったのだよ。まぁ、それでそいつのウロコの発熱状態で洞窟の雰囲気が変わる、という感じでね。水の状態に気を付けないとあっという間に鎧の追跡者様とごたいめーん、みたいな。」
「ほー」
「まぁ、今はご対面したら鎧の材料ひんむくだけだけど、やっぱ序盤は全力逃走のお世話になったね。」
「あれはありがたいスキルやね……」
「迷宮の中はもちろん、気球でうっかりカマキリ様にふれてしまった時とか、何度お世話になったことか……素早くなりすぎだよ、カマキリ様。」
「雪山には亜種も出たとか?」
「ああ、アイスシザース様ね。そういや、あれの鎌も狩ってこないといけなかったんだった。……まぁ、巫女様の救出とかもろもろがひと段落してから…か、行き詰ってからかな。命をチップに危険を買うのが冒険者の仕事、とは言え人のメンツの為の仕事なんて急ぐ必要ないからね。」
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